昔ながらの葬儀の風習の伝承について

私は実家がかなりの田舎住まいで、周囲は瓦葺の屋敷ばかりです。

といっても車で10分ほどでニュータウンもあり、一般的な斎場もたくさん点在しています。
しかし、冠婚葬祭に関しては昔ながらの風習を守り続けています。

葬儀に関しては斎場を使うことなく、自宅の大きな和室で執り行います。
祭壇は近隣で共同で購入したものを共有設備として使いまわす形式です。

お通夜、お葬式のお手伝いはすべて近隣、隣方で行います。女性たちのお料理のふるまいも、何をつくるか決まっています。
さらに初七日、四十九日、一周忌のお返しなどもすべて決まっています。

そして何よりも女性たちがご詠歌を節目節目で唄いに回るところはいかにも地域の風習といえるでしょう。
これ以外の細かいとり仕切りも含め、いまの若者にはなかなか分かっていないものばかりです。
私自身も今年40歳になりますがさすがに葬儀の経験回数もさほどなく、風習を覚えるには至っていません。

実際には70歳以上のわたしの父親世代ばかりがこうした風習を理解しており、しかし何も書面などでは残されていません。
正直、葬儀については経済面や手続きの煩雑さからみて、変えるべきところもありますが、できれば自宅での葬儀などはこれからも長く続けていくべきことだと思います。

これにはもちろん、私の世代が同じ見地に立つ必要もあり、理解をしなければなりません。
書面で過去の風習を残していくことができ、さらには我々の下の世代にも引き継げていくのではないかと思います。

なかなかこれからの時代、一筋縄ではいかないことも理解していますが、亡くなった方々を送るにあたって、なすべきことの一つだと私は常々考えています。